「JTF翻訳祭オンライン配信セミナー」と「ATAカンファレンス」に参加して

スキルアップ
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2024年は、米国オレゴン州ポートランドで開催されたATA(米国翻訳者協会)のカンファレンスに参加することができました。そのときの体験についてはこちらで紹介しています。

日本に帰国後、今度はJTF(日本翻訳連盟)主催の翻訳イベント「翻訳祭」にオンラインで参加しました。今年の翻訳祭は石川県の金沢市で開催されたようですが、会場でのイベント終了後はオンライン配信でもセッションを視聴できます。

第33回JTF翻訳祭2024 | ホーム
JTF翻訳祭はユネスコが9月30日を「世界翻訳の日」と定めたことを祝う記念行事として1989年に始まりました。JTF翻訳祭は、翻訳者・通訳者、翻訳・通訳会社、クライアント企業、ツールベンダー、機械翻訳の研究者・技術者のための国内最大規模の翻訳・通訳イベントです

翻訳祭のオンライン配信の視聴と、ATAのカンファレンスへの参加、という2つの大きな翻訳イベントに参加できた今年はたくさんのことを学ぶことができました。

日本と米国それぞれの翻訳団体がそれぞれ主催するカンファレンスにせっかく両方参加できたので、この記事では両方に参加した感想などを記録していきます。

JTF翻訳祭とATAカンファレンスで共通した学び

AI翻訳、AI通訳が普及するにつれて、翻訳者同士、通訳者同士の競争は激化する

翻訳も通訳も、AIテクノロジーがどんどん普及してきています。

その中で翻訳者、通訳者ができること、求められることも変化してきており、クライアントに選んでもらう「強み」が必要であるとのこと。他者との差別化、自分の強みは何かを明確にすることがこれまで以上に重要になってきていることが、両方のイベントに参加して強く感じました。

「強み」というと大きなことに聞こえますが、「強み」は「翻訳する力」につながる、という視点をJTF翻訳祭に参加して得ることができました。

「どんな分野でどんな翻訳ができるのか?」=「自分の強み」であるということ。

結局、翻訳力を磨き続けることが自分の強みを磨くことにつながる、というお話を聞いて、「なるほどな」と腑に落ちるところがありました。引き続き自分の翻訳力はどんどん磨いていきたいですね。

自分の強みを正しく評価してくれるクライアントを探すこと

いくら自分の強みがあったとしても、それを評価してくれるところがなければ、翻訳者としての自分を活かすことができませんし、満足いく収入を得ることもできません。

翻訳者として長く働き続けるためにも、上記で述べたように自分の強みが必要です。翻訳力につながる専門知識や自分ならではの経験値、得意分野など、分かりやすい強みもあれば、翻訳分野に関すること以外にも、作業スピード、ツールが使える、即レスができる、人脈がある、多言語ができる、なども強みになるはずです。

クライアントにとってメリットととなる自分の強みを正しく評価してくれるクライアントを、自ら探し続けなければなりません。満足いく収入を得るためにも、翻訳者としてキャリアを築く上でも大事なことですね。すぐに見つけることは難しいですが、自分を高めながら常にアンテナを張って探し続けていきたいです。

機械翻訳に対する捉え方

特にSNSを見ていると、日本の個人翻訳者の間では

「機械翻訳はまだまだ使い物にならない」

「単価の割に手間がかかるMTPE案件は受けない」

「機械翻訳されていても全消ししてイチから自分で訳す」

ゆえに「結局のところ人間翻訳と変わらない」といった意見を多く耳にします。翻訳者側としては機械翻訳のポジティブな影響をあまり感じることがありません。

一方で、ATAカンファレンスに参加したときの印象では、機械翻訳は業界の中でほぼスタンダードになっているようでした。「機械翻訳と人間との融合」を強調していた印象です。(すべてのセッションに参加したわけではないので、限られた情報源の中で感じた、あくまで私の個人的な印象ですが。)

ATAカンファレンスでの機械翻訳に関する印象について、詳しくはこちらの記事でセミナーの様子を踏まえてながら書いています。

私個人としては、ポジティブな面もネガティブな面もあると思っています。

ポジティブな面としては、機械翻訳の精度が上がっているのであれば、翻訳のスピードは上がるでしょうし、少なくとも自分でイチからタイピングしないで済みます。さらに、機械翻訳を使用することで自分の頭の中だけでは出てこなかった言葉や表現に出会うこともあり、訳語選定のヒントを得られることもあります。

しかし翻訳していく上で、機械翻訳で出力された文章が適切かどうかに関わらず、機械翻訳の訳に自分の訳が引っ張られてしまう場合もあります。さらに、クライアントが好む翻訳やスタイル、ルールはさまざまあり、機械翻訳の精度がクライアントの要望に基づいた精度の高さであれば効率的ですが、そうでない場合は日本語として精度が高くても、結局手直しする箇所が増え、効率が悪くなります。そのうえ機械翻訳のために単価が下げられてしまうのは、いち翻訳者としてはやはりいい気持ちはしないですよね。この点はネガティブだと思います。

JTFでのカンファレンスでは、いかに機械翻訳と区別して人間翻訳の価値を上げるか、機械翻訳でできない分野をいかに探すか、という点が議論されている印象がありました。私も機械翻訳で出来ない分野をいかに追求するか、というところに興味があるひとりです。

一方ATAのカンファレンスでは、「機械翻訳・AI翻訳と人間との融合」という側面で議論されている印象が強く、機械翻訳に対して人間が必要なスキル(訳抜け、タイポなどのエラーを見つける校正力や、可読性を上げる編集力など)について重点をおいている気がしました。いかにAIと人間を融合させるか、という視点を強く感じます。

それぞれ機械翻訳に対する捉え方の違いが垣間見えた体験でした。

テクノロジーが日々進歩している中で、クライアントに必要とされているスキルは何か、自分はどんな力を高めていくか、考えていく必要がありますね。

2025年に向けて

来年はさすがにATAカンファレンスの参加は難しいと思うので、オンライン上でATA会員となったことを活かしていきたいです。

各種オンラインセミナーに参加して知識を深めたり、新しいアイデアのヒントをもらったり、営業したり、ネットワークを広げたり。新しいクライアントや新しい仕事の機会を探していきたいと思います。

そして、来年はJTF翻訳祭に現地で参加することを目標にします。

今までオンラインでしかセミナーやコミュニティに参加したことがなかったので、来年こそは実際に会場まで足を運んで、直接、ほかの翻訳者の方々と情報交換ができたら、さらに充実した翻訳者生活が送れそうです。

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