翻訳のお仕事を獲得するには、翻訳会社のトライアル(*事前試験のこと)を受けるのが王道かと思います。
現在フリーランスとして翻訳の仕事をしている私も、これまで多くのトライアルを受けてきました。
トライアルと合わせて面接が課される会社もありますが、ほとんどの場合はトライアルが重視されると思います。
私はこれまで、いかに上手に訳文を作るか、ということに集中してトライアルを受けてきました。面接を受けることはなかったのですが、今回初めてトライアルの前に翻訳会社の担当者とオンラインで面接をすることに。
しかも英語で・・・!海外の翻訳会社です。
フリーランス翻訳者の面接ってどんなものだろう、とネットで情報取集をするもなかなか有益な情報は得られず。。。
情報がないなら私の経験をシェアしよう!ということで、今回オンライン英語面接の内容をまとめてみました。
今回の面接の経験が、他の駆け出し翻訳者さんや翻訳、英語を勉強中の方、英語を使ったお仕事を目指されている方にとって、役に立つことができれば幸いです。
英語面接と日本語面接で違いはあるのか
英語面接と言っても、聞かれることは日本語の面接とほぼ同じです。
日本語での回答を、英語で簡潔に答えられるようにしておく準備が必要ではありますが、基本的によく質問される内容は同じ。
特別何かを身構える必要はなく、基本的な面接の準備を行っていれば問題ありません。
もちろん、面接では翻訳者として一定レベル以上の英語力があるか、英語でコミュニケーションがとれるのかどうかを見られているのかとは思いますが、面接官が見ているポイントとしてはそれだけではないはずです。
翻訳の仕事でもコミュニケーションが重視される

英語面接では、英語力の高さよりも、スムーズに意思疎通がとれるのかどうかを見られていると思います。これは日本語の面接でも同じですね。
コミュニケーションが取れるかどうか。
特に翻訳のお仕事はすべてオンライン上でやり取りされ、一度も顔を合わせることなく仕事が進められることがほとんどです。
これから仕事を依頼する側としては、どんな人と仕事をしていくことになるのか、その人自身の人柄を見ておきたい、という側面もあるようです。
そのため、英語での面接だからといって高い英語力を駆使しなければ…とプレッシャーを感じるのではなく、いかに相手とコミュニケーションを取るか、という点を意識するとよいかと思います。
翻訳のお仕事は文字を扱うお仕事ですが、コミュニケーションの取りやすさによって発注側も受注側も仕事のしやすさに大きく関わってきます。
翻訳業界の多くの先輩方が口をそろえておっしゃっていました。
「翻訳業はサービス業である」と。
クライアントさんがいることで翻訳者はお仕事をいただけている。
クライアントさんが望むレベル、スタイルの「翻訳」というサービスを私たち翻訳者が提供している。そしてクライアントさんのビジネスによっては急な案件が飛び込んで来たりもする。
そんな中で、よりコミュニケーションが取りやすい人に仕事をお願いしたいと思うでしょう。そういった意味でも「翻訳だから…」と相手とのコミュニケーションを軽視するのではなく、しっかりと意思疎通を図ることをおススメします。
英語面接は自己アピールをしっかりとする
英語面接と日本語面接で、聞かれる質問の内容に大きな差はないですが、英語面接で意識しておきたい大きなポイントとしては、自己アピールではないでしょうか。
日本では「謙遜」することが「美徳」とされることが多いです。
しかし、英語での面接、外国人の方との面接の場合は謙遜や遠慮は少し封印して、いかに自分を企業にアピールするか、いかにスキルをアピールできるか、という点を意識した方がよいです。
もちろん、基本的なビジネスマナーや言葉遣いはわきまえたうえで、自分をしっかりアピールできると好印象を持たれやすいと思います。
自分のこれまでの成果や経験を具体的に伝えることが必要です。
翻訳者としての面接であれば、今までの翻訳経験や得意分野、処理できるワード数、特別な資格やスキルなどがアピールできますね。
また、学歴についてはあまり聞かれないのではないかと思います。
特に翻訳業界においては、学歴よりもどんなプロジェクトに携わってきたのか、翻訳経験を重視されます。
翻訳や語学はどこでどうやって学んだのか、という質問はされるかもしれませんが、学歴を大きくアピールするよりもこれまでの翻訳に関わる経験やスキルをアピールすることが求められます。
英語面接の前に準備しておきたい4つのこと
ただでさえ面接は緊張するのに、英語で面接なんて…。
うまく答えられるだろうか、、と不安ではありませんか?
私も英語は好きですが、もともと人前で話すことは苦手ですし、自己アピールなんて日本語だとしても大の苦手です。
そんな私でも、事前準備だけでもしっかりやることで、当日は必要以上に緊張したり不安に駆られたりすることなく、リラックスして面接に臨むことができました。
ここでは、英語面接に臨むための事前準備についてお伝えします。
必要な事前準備は4つ。
①想定質問に対する回答を準備する

聞かれた質問に英語で答えられるようにする準備です。
まずは想定質問に対して日本語だとどう答えるのか、想像をしてみて、そこから英語でどう伝えるか、英語での回答を準備します。
私は以下の内容を英語で答えられるように準備していました。
- 自己紹介
- これまでのキャリア/職歴を説明できるように
- これまで関わったプロジェクトの説明ができるように
- これまでの翻訳実績、経験を話せるように
(ワード数を聞かれたときのために、どれくらいのワード数を対応したか棚卸ししておく) - 現在進行中のプロジェクトについて
- 得意な翻訳分野について
- 自分のキャパシティや稼働時間について
私のおすすめの準備としては、面接で話す内容をまず実際に話すつもりで英文を書いてみることです。
何を話すか、回答内容を箇条書きにするのもいいですが、とっさに聞かれたときに英語のフレーズが出てこない!ということもありえます。緊張していたらなおさらです。
特に話すことに苦手意識を持っている方(私もそのひとりです)、一度実際に話すつもりで英文に書き起こしてみてください。
会話の流れもイメージしやすくなり、当日も落ち着いて話すことができると思います。
②提出した履歴書を見直す

応募時に提出した履歴書/職務経歴書を見直します。
英語面接の場合は英文の履歴書/経歴書ですね。
どんな内容を書いていたのか、アピールポイントはどこか、面接官に履歴書の内容を深堀りされた場合に答えられるように、もう一度見直ししておきます。
あらかじめ突っ込まれそうな箇所があれば、事前に答えられるように準備しておきましょう。
③面接官への質問事項を用意する

こちらからの逆質問をすることで、意欲をアピールすることができます。
採用に関して疑問点や懸念事項があれば事前に解消することもできます。
これも私は大事なコミュニケーションのひとつだと捉えています。
事前にその企業のホームページを見て、おおまかなサービス内容や事業内容を把握しておいて、自分の興味がある分野について質問してみると好印象かと思います。
ここはアピールするために、一生懸命企業分析したことを質問しなければ…と意気込むよりも、ナチュラルに、この面接を通して湧いてきた質問や会社に対する質問、プロジェクトに関する質問、今後のスケジュールについての質問などをしながら、相手とコミュニケーションをとるつもりで準備しておくとよいでしょう。
質問も1つや2つだと、面接していく中で先に面接官から説明があったり、会話をしていく中で回答があったりするので、最後に聞くことがなくならないように、4つ5つ用意しておくことをおススメします。
私は以下のような質問を用意していました。
- 今回募集している新しいプロジェクトについて、具体的な分野は分かるか?
どういったコンテンツの翻訳を行うのか?(募集要項には General と書いてあるだけで詳細が不明だったため) - もしプロジェクトへのアサインが決まった場合は、毎日のノルマ(最低限対応すべきワード数)の指定はあるのか?
- この面接の後のステップはどのように進むのか?トライアルがあるのか?
- ホームページをみると複数の国や都市に支店があるようだが、面接官自身はどこから面接をしているのか?(海外の翻訳会社のため、今後も時差を考慮する必要があると思い、ロケーションを聞いておきたかった)
④オンラインの環境を整える

海外の翻訳会社に限らず、フリーランスや在宅でのお仕事の場合は、オンライン面接が主かと思います。
面接で話すことの準備はもちろんですが、オンラインならではの準備も抜かりなく行います。
- カメラの動作、画面の明るさをチェック
- インターネット環境に問題がないか
- 音量やマイクのチェック
- 画面に映る背景のチェック
ざっとこれくらいは事前に確認しておくと、約束の時間直前になって、
背景が変更できない、ネットがつながらない、カメラが思ったより暗い、などと慌てることもなくなります。
オンライン面接の場合は話す内容をメモ帳などに書いて、画面の隅に開いておきます。緊張してテンパってしまったときなど、困ったらいつでも確認できるようにしておくのです。
自分の中の引き出しを、いつでもパッと引き出せるように準備しておきます。
これはオンライン面接のメリットですね!
私はメモ帳に話したい内容を書いて、面接時に画面の右隅に開いていました。
そのおかげで、想定外の質問があったときも、そのメモを見ながら話せそうな内容を引き出して、回答することができました。
英語面接で実際に聞かれた質問

面接で基本的によく聞かれる質問としては、
- 自己紹介
- 志望動機
- これまでのキャリアについて
- 翻訳実績について
- 得意分野について
- 長所短所
- 趣味/特技
- 今後の目標
こんなところではないでしょうか。
一般的な面接とだいたい同じかと思います。
特に翻訳者としては、翻訳実績や得意分野を整理しておく必要がありますね。
私が今回のオンライン面接で実際に聞かれた質問を紹介したいと思います。
面接準備の参考にしてください!
1. Tell me about yourself and your daily work?
(日々のお仕事内容含め、自己紹介をお願いします)
2. Do you have any expertise?
(専門分野はありますか?)
3. Do you have any expertise that you don’t feel good?
(あまり得意でない専門分野はありますか?)
4. Do you have any expertise that you want to take?
Do you have any experience with that?
(対応したい分野はありますか?その分野の翻訳経験はありますか?)
5. What is your first language and your educated language?
(母語は何ですか?どの言語で教育を受けてきましたか?)
6. How many words do you output per day?
(1日あたりどれくらいのワード数を対応できますか?)
7. How do you handle deadlines?
(締め切りについてはどのように対応していますか?)
8. Do you have any experience with rush translation?
(緊急案件の対応をしたことがありますか?)
9. What is your working hour?
(稼働時間を教えてください)
個人的に予想外の質問だったのが、締め切りへの対応と緊急案件への対応について。
主に企業ビジネスに関わる翻訳を行う産業翻訳では、納期が厳しかったり、緊急案件が差し込まれたりすることもあります。
翻訳のお仕事を行う上で納期は絶対。
そのため、納期について普段どのように対応しているのか、今後緊急案件があったときに対応してくれるのだろうか、という点が翻訳会社としては気になっているんだな、という印象を持ちました。
わからなかったときは正直に聞き返すのが一番
できる準備は万全にしても、面接官の質問は正しく聞き取れるのか・・・?
そんな不安はありませんか?
どんなに準備をしても、肝心の質問が聞き取れなかったら本末転倒になってしまいます。
英語の読み書きは得意でも、話すこと、聞き取ることは苦手、という方は多いのではないでしょうか。
かく言う私も、翻訳者として仕事をしていますが、スピーキングはどちらかと言うと苦手です。
日常会話はできても、面接となると勝手が違いますよね。。。
でも、聞き取れなかったら、聞き返えせばいいんです。
“Sorry?”, “Excuse me?”
“Sorry, could you say that again?”
“Sorry, I couldn’t hear that.”
聞き返すことは失礼ではありません。
聞き返すのは失礼になるのではないか?聞き取れなかったら評価が落ちるのではないか?
そんな気持ちになりそうですが、問題ありません。
最初の方でも述べたように、面接といえども、相手とのコミュニケーションを取ることが目的です。正しく聞き取れずに、推測で回答して的外れの回答を行うよりも、聞き返してきちんとした回答を返すことの方が大事です。
聞き返すことを恐れずに、わからなければ聞き返しましょう。
うまく話せなくても大丈夫

英語を扱う仕事なので、もちろん英語が分かることが大前提です。ですが、翻訳者の場合は成果物である翻訳が大事。
スピーキングが苦手でも、上手に話せなくても、自分のこれまでの経験を自分の言葉で伝えられれば問題ないと私は思います。
不安な気持ちはあっても、自信を持って話すこと。
面接だけど、相手との会話を楽しむこと。コミュニケーションを楽しむこと。
ポイントをおさえておけば、会話を楽しむ気持ちで乗り切れる。私はそんな気持ちで乗り切りました。
究極のポジティブ思考で考えれば、無料で英会話の練習ができる!(ラッキー!)くらいの気持ちで臨めるのではないでしょうか。(なかなかそこまでは思えないかもしれませんが…)
今回の英語面接で学んだこと
・自信を持って話せるように、準備はしっかり行うこと
・興味を持って質問できるように、相手(翻訳会社)のことも少しは勉強しておくこと
・うまく話せなくても自信を持って明るく話すこと
・うまく話すことよりもコミュニケーションを取ることに集中すること
・翻訳会社は納期の管理や緊急案件の対応可否などを結構気にしている
今回の英語面接では、改めて自分の翻訳経験や職歴を整理してアピールポイントを探したり、英語で自分のキャリアを説明できるように自己練習したりと、転職活動でもしない限りやらないようなことを経験できたと思います。
定期的に自分の実績、キャリアを振り返るのは自分の自信にもつながりますし、これからの方向性を考えるのにも良いきっかけになる気がしました。
そして翻訳ばかりやっていると、「話す」経験から離れていきそうですが、普段から英会話に日常的に触れていると、実際英語で会話をしなければならないとき、会話のテンポにはついていきやすいことも改めて分かりました。
動画でもラジオでも友達でも、身近なところで普段から英語のコンテンツを見たり聞いたり、話したり(独り言でも)しておいた方がよいです。
私は普段から、英語のコンテンツ動画を見たり、実際に口に出して読んでみたり、シャドーイングしてみたり、といったことをやっていたおかげか、今回の英語面接のハードルを少し下げることに繋がったかな、という気持ちもあります。
毎日でなくても、少しでも英語に触れる、「話す」「聞く」に触れることを日常に取り入れるといいですね。
この英語面接のおかげで、ますます英語を上手に話せるようになりたい、という意欲も湧いてきました。
これから翻訳のスキルも伸ばして、色んな種類の翻訳のお仕事経験も積んで、さらに自信を持って面接にも臨めるようにしたいです。
この記事が少しでもあなたの役に立てれば嬉しく思います。
頑張りましょう!


